麻壁らぼ Hempcrete Lab
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コラム
ヘンプクリートいろいろ

 先日浜松町の産業貿易センターにて、第一回東京国際ヘンプカンファランスなるのが開催されました。アメリカのヘンプクリートの規格(参照:https://codes.iccsafe.org/content/IRC2024P1/appendix-bl-hemp-lime-hempcrete-construction)を作った方が来ているので紹介しますと言われ行ってまいりました。
 ヘンプクリート規格を作ったJacob(Hemp Building Institute)さんによると、アメリカの規格は主にヨーロッパのいろいろな実績を取りまとめて作られて物で、これからどんどん細部や情報更新をしていく必要があるとのこと。僕がずっと疑問に思っていた、混合する際の材料の状態、乾燥度合い、混合比率や密度の決定方法などは特に決まっていない(決めていない)そうだ。強度については規定の方法で型枠から外された試験体を2週間以上養生し、圧縮強度が0.2Mpa(N/mm2)以上でなければならないとなっているが、密度別の強度がある訳でなく、どれくらいの含水率で測っているかも決まりがないとのこと。

 ということで、実際のところは細かく色々と決まっている訳ではないというのがはっきりしたので、僕が作っているヘンプクリートもあなたが作っているヘンプクリートも、どれもヘンプチップとバインダーで混ぜられていれば、それはヘンプクリートと言っていいということ。(強度は0.2Mpa必要だけど)
 そんな訳で、貰ってきたアメリカのヘンプクリートとイタリアのヘンプクリート、僕の作ったヘンプクリートを並べて色々と測ってみました。

<チップの大きさ>
アメリカ:チップは長いものが比較的多いが、厚さはない。
イタリア:チップはとても小さく薄い。
国産1(オランダチップ):イタリアのチップサイズに極めて近い。
国産2(国産チップ):アメリカとイタリアの中間くらいの大きさだが、厚いものが含まれる。
国産3(イギリスチップ):長さは国産に近いが、厚みはない。
<密度・たたいた時の音>
アメリカ  280Kg/m3 鈍い重たい音がする
イタリア  438Kg/m3 硬く乾いた音(陶器みたいな感じ)
国産1   415Kg/m3 アメリカのものよりもさらに鈍い
国産2   596Kg/m3 アメリカのものよりも乾いた音だがイタリアのものより鈍い
国産3   360Kg/m3 アメリカのものと近い

サイズも違い、チップの大きさも違い、硬さも違うのだが、イタリアのものだけ工場で作られているので断然硬い。おそらく強度もあると思うのだが、サイズが違いすぎるので比較は難しい。。。。表面の含水率はどれも10%前後。内部は10〜15%の範囲に入っている。元々材料(チップとバインダー)自体の含水率が15〜20%と考えると、混錬時に入れた水分はほぼ飛んでいる状態だと言える。ちなみに、2週間後のサンプルの内部含水率は90%を超えます。表面が乾いていても内部は水がいっぱい。今まで2週間という時間軸で破壊試験をしてきましたが、それに意味がないことがわかったので、今後は含水率が20%以下になった場合の破壊試験をしてみようと思います。